2006年07月25日

群馬大病院でのドナー事故に関する意見

この記事は随時加筆修正していく予定です。

http://transplant.1-12-bike.net/medical/2006/07/post_19.html
ニュースソースとしては、もっとも公平で簡潔にまとまっていると判断したものを記載しておきます。

この事故、ドナー(肝臓あげる方)に残った後遺症ばかりに注視しがちですが、実際の問題はそれまでの経緯にあると見ています。

まず、レシピエント(肝臓もらう方)が感染症で亡くなっていることから、術後管理に何か落ち度があったと考えました。
また脊髄損傷の原因となった多量の出血は、記事内にもあるヘパリンの投与ミスが直接の原因と読めます。しかし、そこまで重篤な状況に陥ったのは、硬膜外カテーテル(多分硬膜外麻酔に使う管だと思います)が上手く処置できていなかったからと考えました。

つまり、生体肝移植がどうとか, ドナーがどうとかという以前の問題で、技術, 能力, その他様々な要因について、外科手術ができる環境でなかったのではないか、ということです。
「生体肝移植」の「ドナー」であったことに目が行きがちになりますが、起こるべくして起こった事故だと思いました。唯一他と違い、また重要視すべきなのが、健康体であるドナーに重い障害を残したという点だということです。

この件は昨年11月に行われたということで(ぼくと同時期です)公にするまでに約8ヶ月間もあったことになります。
この大学病院では、そこそこの件数の肝移植をこなしているようですから、この間に肝移植の術例もあったかもしれません。外科手術という括りであれば、何十, 何百例はあるでしょう。
その期間、手術を受けることになった方々は当然、このようなミスがあったことは聞かされていないでしょう。知らせるべき情報を隠したまま手術を受けることになっていたのです。

また移植医療を取り巻く状況への影響も、マイナス方向に大きく働きそうです。
この事故を受けてドナーになるのを断念するケースも往々にしてあるでしょう。

そして、世間的にはまたしても誤った認識を植えつけることにもなりそうです。
いわゆる「ドナーカード」は、脳死, 心停止状態における臓器提供の意思を示すカードです。それを骨髄ドナー登録と同列に、生体からの提供意思を示すものと思われている方が多いようです。認識違いに認識違いが重なり、ドナーカードの普及にも影響が出そうです。

これから進められる移植手術は、より慎重な姿勢で挑まれることを願いますが、最悪なのは他にも既に起きていた医療ミスが発覚することです(もちろん隠しておくのはもっと最悪ですが)。
こうなってしまえば、国内で生体臓器移植ができなくなるかもしれません。
他に治療法はない方の最後の手段が臓器移植な訳ですから、進むべき道を閉ざされる方がたくさん生まれてしまいます。

投稿者:1-12-bike 日時:22:35 | パーマリンク | コメント (1) | トラックバック (0)