■【主張】臓器移植法改正 ドナー不足解決へ審議を

腎がんなどの患者から腎臓を摘出して透析患者に移植する「病腎移植」が、波紋を広げている。移植を受けた患者ががんになる危険性や「使える腎臓なら元の人の体に戻すべきだ」との指摘がある一方で、愛媛県の宇和島徳洲会病院でそれなりの“成果”を上げ、患者に歓迎されているからだ。

ただし、ここで肝心なことを忘れてはならない。病腎移植はあくまでも緊急避難的措置であり、それを通常の医療行為として行わなければならないのは、ドナー(臓器提供者)が不足しているからだ。ドナー不足の解決を後回しにして病腎移植を論じるのは、本末転倒である。

ドナー不足は深刻だ。人工腎臓(透析装置)で自らの生命を維持している透析患者は毎年増え続け、現在26万人に上る。腎臓移植を受けない限り、透析治療から抜け出すことはできない。にもかかわらず、昨年、死体腎移植や脳死腎移植を受けることができた透析患者は、160人に過ぎない。

昨年、日本臓器移植ネットワークに登録された腎移植希望患者は、1万1450人である。これと比較しても、腎移植を受けられたのは、72人に1人という厳しい計算になる。

脳死移植の対象となる心臓や肝臓、肺、膵臓(すいぞう)も、腎臓と同様にドナーが足りない。平成9年の臓器移植法施行後に現れた脳死ドナーはたったの49人(年間平均5・4人)である。

人口100万人当たりの世界各国の脳死ドナー数(2004年)を見ても、スペインが「34・6人」と最も多く、日本は37番目の「0・75人」で、異常に少ないことが分かる。

ドナーを増やすにはまず、臓器移植法を改正することである。ドナー本人が生前に拒否していなければ、ドナーの遺族の同意で臓器の摘出ができるように改めるべきだ。ドナー本人の同意を厳しく求めるのは日本だけで、世界保健機関(WHO)基準も遺族の同意で臓器提供を可能にしている。

病腎移植だけではない。「臓器売買」も中国の「死刑囚ドナー」もすべてドナー不足に起因する。

臓器移植法改正案の成立が遅れれば遅れるほど、ドナー不足はさらに深刻化する。この国会で改正案の審議を早急に始めるべきではないか。

(産経新聞)

投稿者:1-12-bike 日時:2006年12月05日 10:23 | パーマリンク

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたとがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)