病気腎移植 指針違反、非親族も 宇和島徳洲会 医師、虚偽説明の疑い

病気腎移植 指針違反、非親族も 宇和島徳洲会 医師、虚偽説明の疑い

愛媛県宇和島市の宇和島徳洲会病院(貞島博通院長)が、病気と診断され摘出した腎臓を別の患者に移植していた問題で、移植手術を担当した泌尿器科部長の万波(まんなみ)誠医師(66)は3日、産経新聞の取材に、腎臓疾患患者をドナーとしていたことに加え、この中に日本移植学会の倫理指針に反する非親族間の移植があったことを認めた。

万波医師はこれまで非親族間移植は臓器移植法違反(臓器売買)事件として立件された1件だけとし、「移植手術は親族間以外では絶対にありえない」と説明していた。虚偽だった疑いが強いが、同医師は「うそではない。例外だった」と話している。

万波医師の手術を今年2月に受けたという男性は産経新聞の取材に応じ、同医師から「(腎臓の)いいのがあったらやろうか」と言われて、移植を勧められたと証言した。同医師が親族でないドナーの存在を把握し、移植を斡旋していた可能性が出てきた。

また、疾患の疑いの腎臓を移植した11件のうち3件は、万波医師の弟の万波廉介医師(60)が摘出手術にかかわっていたことも判明した。

関係者によると、病気の患者から摘出した腎臓を別の患者に移植した11例のうち、3例は腎臓がんの疑いや良性腫瘍(しゅよう)、動脈瘤(りゅう)のため別の病院で摘出した後、良性の病変と確認したうえで徳洲会病院に運び、移植されたものだった。

弟の廉介医師がこの3例で摘出手術にかかわっていた。岡山県内の病院で摘出手術を行ったという。廉介医師は、摘出患者の同意も得て、金銭のやりとりもなく、問題はないと主張している。

万波医師は産経新聞の取材に「(病気摘出された腎臓の)移植を受ける患者には、そういう理由で摘出された腎臓であることや、(病気の)再発の可能性についても説明し、同意してもらっている」と語った。

■説明・同意、十分あったか

病気治療のため摘出した腎臓を、他人に頻繁に移植していた宇和島徳洲会病院。医療関係者や移植の患者団体からは「とんでもない話」と一様に批判の声が上がった。腎臓提供者や移植を受けた患者に、「病気の腎臓」という十分なインフォームドコンセント(事前の説明と同意)があったのか。今後の実態解明が求められる。

移植関係者によると、がんなど病巣を含む腎臓を移植に使うことはあり得ない。しかし、治療過程で、まだ機能する腎臓が摘出されるケースはあり、それを移植することはあり得るという。

例えば腎臓直近の大動脈瘤(りゅう)の手術では、健康な腎臓をいったん摘出し、瘤の手術後、摘出していた腎臓を別の場所に「自家移植」する。また、事前の検査で悪性腫瘍(しゅよう)と診断していた部分が、摘出後に良性腫瘍と分かり、摘出する必要がなかったと判明するケースもある。

しかし、日本臓器移植ネットワーク理事兼西日本支部長の園田孝夫・大阪大学名誉教授は「他人に移植するなら、そもそも摘出しなければならない病的な腎臓だったのか、という問題がある」と指摘。「仮に腫瘍なら、手術前の検査で良性か悪性かはおおむね分かるし、悪性部分だけ取り除くのも難しい手術ではない」と話す。

腎臓移植医の太田和夫元日本移植学会理事長は「担当した医師は、腎臓の機能は完全ではないけれども、移植される患者のためになる良いことだと考えてやっているのだろうが、一般常識では行わない手術」と批判する。

移植を受けた人々でつくる全国組織「日本移植者協議会」(大阪)の大久保通方理事長は「病気の患者の腎臓を移植するという手術が、年に4回程度行われていたというのは信じられない。病院にこうした腎臓を受け入れる段取りができているとしか思えない」と病院側の体制を疑問視する。

日本移植学会は倫理指針で、生体移植にあたって親族以外からの提供は原則的に認めていない。同病院には倫理委員会がなく、移植実施の判断を誰がどのように行ったのかまったく不透明だ。

そうした移植が頻繁に行われる中で、臓器提供者の同意が十分に得られていない可能性や、摘出の必要のない腎臓が摘出された可能性も疑われる。2年半の間に行われた11回について、第三者の目で検証する必要がある。
(産経新聞) - 11月4日

投稿者:1-12-bike 日時:2006年11月05日 22:02 | パーマリンク

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