愛媛県宇和島市の宇和島徳洲会病院が実施した生体腎移植をめぐる臓器売買事件で、手術を担当した医師が臓器提供者(ドナー)の女性(59)と手術前に会ったのは、検査時の1回だけだったことが2日、分かった。同病院には臓器提供の是非を検討する倫理委員会がなかったことも判明。県警は、手術前のチェック体制に不備がなかったか、慎重に捜査を進めている。
手術を担当したのは院長代行の万波誠・泌尿器科部長(65)。
県警によると、女性は手術の約1カ月前の昨年8月、山下鈴夫容疑者(59)=臓器移植法違反容疑で逮捕=と、仲介をした松下知子容疑者(59)=同=の2人とともに同病院の万波部長を訪問。「わたしの腎臓をお兄さん(山下容疑者)にあげてください」などと話し、検査で血液型が一致するなどドナーとして適することを確認した。
その後は万波部長と会うことがないまま、手術の数日前に入院。昨年9月28日に摘出、移植手術が行われた。「インフォームドコンセント」(医者の十分な説明と患者の同意)も文書で行われなかったという。
生体腎移植手術は、患者が自らドナーを探し、手術を申し込むのが一般的で、今回もこのケース。病院側も「自己申告を信じるしかない」として、女性の身元を確認していなかった。
日本移植学会の倫理指針では、親族以外から臓器提供を受ける場合、各医療機関が独自に倫理委員会を設け、慎重に作業するように求めている。しかし病院関係者によると、「病院は平成16年4月に開設されたばかりで、ドナーとレシピエント(移植を受ける患者)を調査する倫理委員会は設立されていない」という。
万波部長は、600回以上の腎移植を手がけているが、「ドナーの病歴などは調べるが、基本的に自己申告。戸籍謄本などでドナーを確認したことは一度もない」と説明。「どこの病院もそんなチェック体制はない」と話している。
女性は術後に胆石が見つかり手術。現在は別の病院に入院中。
県警は2日午後、山下、松下両容疑者を送検する方針。
(産経新聞) - 10月2日
投稿者:1-12-bike 日時:2006年10月03日 00:54 | パーマリンク