ドナー確認は保険証だけ…執刀医、移植学会に所属せず

愛媛県宇和島市の「宇和島徳洲会病院」で行われた生体腎移植を巡る臓器売買事件で、執刀した泌尿器科部長の万波(まんなみ)誠医師(65)は、国内で移植を行う医師のほとんどが所属する日本移植学会に所属していなかったことが2日、わかった。

万波医師は、提供者の本人確認の手段について「保険証を見ること以外、今までやったことがない」と証言した。臓器提供者(ドナー)の範囲や移植までの手順は、日本移植学会の倫理指針で定めている。

臓器提供者の本人確認や親族関係の確認の具体的な方法は、学会の倫理指針にも定めがなく、チェックのやり方は病院側の判断に委ねられている。学会へ所属するかどうかは任意だが、非会員とわかったことで、学会の調査や対策にも、大きな課題が浮上した。

万波医師は、腎移植では全国有数の実施件数を上げ、腎移植の世界では名の通った存在だ。山口大を卒業した1970年から市立宇和島病院に勤務し、腎移植は77年から2004年に退職するまでに545件手がけた。

00年は36件で全国の施設で2番目、01年も35件で全国で3番目に多かった。04年4月にオープンした宇和島徳洲会病院に移った後も実施件数は82件にのぼった。同病院での生体腎移植は、すべて万波医師が担当していた。同医師は「(本人確認は)保険証を使うが、本人の言葉を信じるしかない。(それ以外の確認は)今までやったことがない」と読売新聞の取材に話した。

今回、逮捕された患者で水産会社役員山下鈴夫容疑者(59)(宇和島市中沢町)に移植した腎臓の提供者についても、松山市内の貸しビル業の女性(59)を、病院側は「山下容疑者の義妹」と思い込んでいたという。

田中紘一・学会理事長は「学会に所属していない医師に倫理指針を適用するかは想定外で、強制力はないことになる。病院に倫理委員会がないのは、医療スタンスとして問題」と話している。

(2006年10月2日 読売新聞)

投稿者:1-12-bike 日時:2006年10月03日 00:11 | パーマリンク

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