生体肝移植を受けた患者から摘出した肝臓を別の患者に移植する「生体ドミノ肝移植」を1999年に受けた患者が、移植した肝臓が原因とされる進行性の難病「アミロイド・ポリニューロパシー(FAP)」を発症したことを、熊本大病院が26日までに確認した。
患者の肝臓を移植に使用しても、発症には20年ほどかかるとされており、ドミノ移植は臓器の不足を補う緊急避難的な治療として行われた。今回のケースは移植から約6年半で発症したことになり、日本移植学会の田中紘一理事長は学会として調査する考えを示した。
患者は原発性胆汁性肝硬変の50代の女性で、99年7月、京都大病院で生体ドミノ肝移植を受けた。提供者はFAPの男性患者だった。
(共同通信) - 7月26日
群馬大病院で昨年11月に行われた生体肝移植手術で、夫に肝臓を提供した50代女性が手術後、血液凝固阻止剤「ヘパリン」の過剰投与が原因で脊髄(せきずい)を損傷し下半身不随になっていたことが24日、分かった。
同病院は医療ミスを認め、女性や家族に謝罪。夫は手術後の今年3月に感染症のため死亡した。
日本肝移植研究会によると、生体肝移植は国内で4000例弱実施。京都大病院で提供者(ドナー)となった40代女性が多臓器不全で死亡した例はあるが、ドナーが医療ミスで重い後遺症になったのは初めて。また、移植を受けた患者の生存率も1年後は約82%、3年後は約78%と高い。
(共同通信) - 7月24日
健康な人が肝臓の一部を提供する生体肝移植で、実施医療機関の約4割が、提供者(ドナー)への説明文書で、提供を途中でやめる権利があることを記載していないことが、厚生労働省の研究班(班長=里見進・東北大教授)の調査で分かった。事態を重視した日本肝移植研究会は、同研究班が試作した「自己点検シート」を各医療機関へ配布し、ドナーの意思確認の徹底を求めていく。
生体肝移植は、家族や親族間で行われるケースが多い。特に法令などによる基準はないが、ドナーの判断で断念することも当然の権利とされている。
調査は、全国の生体肝移植を実施している56医療機関を対象に実施し、提供者に説明する際に使っている資料の送付を求めた。回答は、41施設からあった。
資料を分析した結果、提供を途中で辞退する権利があることについて、資料に記載されていたのは59%(24施設)にとどまり、不徹底さが浮き彫りになった。
このほか資料への記載率が低かったのは、「移植のおおまかな流れ」(17%)、「傷や痛み」(12%)など。逆に記載率が高かったのは、「術後の合併症と治療」(93%)、「入院期間」(76%)などだった。
日本肝移植研究会が04年にまとめた調査では、提供者の半数近くが術後に傷口のまひなどの自覚症状を訴えている。
研究班が試作した点検シートは、肝移植に関する理解や移植の意思を再確認することを目指すもので、手術に要する期間や体調への影響、提供者の精神状態、周囲の理解、相談相手の有無などをチェックする内容になっている。
里見班長は「辞退の権利や術後の体調について、口頭ではどの施設でも伝えていると思う。しかし、提供者は家族や親族を救う立場にあるため、精神的に高ぶっている可能性がある。疑問やわだかまりを解消し、冷静に判断するため、点検シートを活用してもらいたい」と話している。
(毎日新聞) - 7月23日