京都大医学研究科の倫理委員会は26日、2004年11月にパキスタンから来日、京大医学部付属病院で生体肝移植を受けた男性患者(54)の手術経緯について公表した。当初ドナー(臓器提供者)予定だった男性(31)は「四親等(いとこ)と証明するには書類が不確かなど問題が多い」として不承認とし、今後のトラブルを避けるため倫理方針も明確化したという。
患者をめぐっては、ドナーの予定で共に来日した男性が、患者の滞在先で手術費など約3万ドル(約330万円)を盗んだとして、川端署に逮捕されたが処分保留で釈放された。患者は同署に対し「いとこ」と説明したが、男性は調べの中で「いとこではなく、患者の会社の従業員。ドナーになれば金をもらう予定だった」と供述。同署は男性と患者の関係について「裏付けが取れない」としている。
京都大では、生体肝移植はドナーが患者の三親等内であることが原則。四親等のドナーも倫理委の承認があれば例外的に手術を認め、海外からの渡航者2人で実施している。
今回は来日前に書類を提出せず、いとこと証明する書類がないなど問題が多かったため、倫理委は04年12月に手術を不承認とした。患者は三重大での移植を希望し、同大学で審査中に男性が所在不明になった。患者は息子をドナーとして京大病院での手術をあらためて希望、倫理委が再審査して実施を認め、同月手術が行われた。
倫理委は、例外的に認めてきた四親等の実施について、「四親等で手術を受けられるという誤ったメッセージが国外に広がる」(倫理委員長の小杉眞司教授)とし、申請自体を受け付けないことにした。04年12月に方針を確認、入国前の書類の提出やドナーの意思確認などを明文化した。
小杉委員長は「親族関係が遠くなるほどドナーの自立性が疑われトラブルの可能性が大きくなるので、京大では三親等内と明文化した。倫理委が当初、承認しなかったことは結果的に正しかった」と話した。
(京都新聞) - 6月26日
九州大(福岡市東区)は26日、同大病院第2外科が2人の臓器提供者(ドナー)の肝臓のそれぞれ一部を、患者1人に移植する生体肝移植を27日に実施すると発表した。同大によると、同様の生体肝移植は韓国など海外で数十例あるが、国内では2例目という。
移植を受けるのはC型肝硬変の九州在住の男性で、ドナーは男性の妻と息子(成人)。同大病院は1996年から223例の生体肝移植を実施しているが、すべてドナーは1人だった。今回は男性が身長180センチ、体重94キロと大柄で、ドナー1人の肝臓だけでは肝機能を回復するには大きさが十分でなく、治療効果が上がらないため、家族の了解を得たうえで、2人の肝臓を移植することにしたという。
移植を承認した同大医学研究院等倫理委員会の池田典昭委員長は「安全面を考えればドナーは1人がいいが、患者は末期の肝不全で容体が悪化しており、今回は例外的に承認した」と話した。
(西日本新聞) - 6月27日
◇白血病に倒れた画家志望の少女--骨髄移植ドナー登録、献血ルームでも
京都市内3カ所の府赤十字血液センター献血ルームで、画家を志しながら白血病のため7歳で亡くなった少女が残した絵画作品を展示する「あやちゃんの贈り物展」が開かれている。昨年9月から献血ルームで骨髄移植のドナー登録が常時可能になったのを広く知らせようと、京都血液疾患患者家族の会「なかよし会」(中津和美代表)が企画した。【細谷拓海】
少女は東京都出身の三瓶彩子さん。1982年に生まれ、2歳で発病。病床で画家になるのを夢見ながら約8000枚の絵を描き、90年に亡くなった。何度も輸血を繰り返しながら、その度に元気を取り戻し好きな絵を描いていたという。
下京区の「献血ルーム京都駅前」には、病院のベッド上で馬に乗るのを夢見て描いた「馬に乗る少女と見る少女」や、死を間近によく描くようになった天使の絵など14点を展示。色鉛筆や絵の具で描かれた絵や彩子さんの写真などが、命の大切さを訴えかける。
白血病の治療に不可欠な骨髄移植と献血だが、それぞれの推進団体は骨髄移植推進財団と日本赤十字社。府内では各保健所でドナー登録を受け付けているが、ドナーの“すそ野”を広げる狙いから、土曜・日曜や祝日にも対応できる献血ルームでの常設窓口開設が両者の協力で実現した。
10年前に自身の子どもが骨髄移植を受け、回復したという中津さんは「白血病の治療には大量の血も必要。ドナー登録が献血ルームでもできるということを知ってもらい、献血にもぜひ協力してほしい」と訴える。会期は19日まで(伏見大手筋は17日まで)。
(毎日新聞) - 6月14日
今国会に提出された臓器移植法改正の2法案が審議入りしないまま継続審議となる見通しとなり、14日、都内で記者会見した臓器移植患者団体連絡会の大久保通方代表幹事は「命が懸かった法律なのに、ほったらかし、たなざらしが続いている。憤りを感じる。怠慢だ」と国会の対応を非難した。
日本移植学会の田中紘一理事長も「審議もされない状況は残念極まりない。国民全体、社会全体でもっと考えていただきたい」と述べた。
移植法は1997年10月施行。与党議員の有志が3月31日、臓器の提供条件を緩和する2法案を国会に提出した。しかし、付託された衆院厚生労働委員会は医療制度改革などの重要法案の審議に追われ、2法案の審議が始まらないまま18日の国会会期末を迎えようとしている。
(共同通信) - 6月14日
信大大学院医学研究科は10日、松本市の同大旭総合研究棟で公開授業「子どもの脳死と臓器移植」を開いた。亡くなった息子の腎臓を提供した医師、弁護士ら5人が講師を務め、学生と市民ら計約100人が聴講。開会中の通常国会に、15歳未満の脳死段階での臓器提供に道を開く2つの改正法案が提出されていることを踏まえ、現状と問題点などを考えた。
同研究科が公開授業でこのテーマを扱うのは3年連続。小児神経科医で第二びわこ学園(滋賀県野洲市)園長の杉本健郎さんは、1985年に交通事故で死亡した6歳の長男の腎臓を患者に提供した経験を話した。
杉本さんは「息子は悔しく、不快な思いをして死んだはず。その上なぜ、臓器移植で体を切り刻まれなくてはいけないのかと感じたかもしれない」と振り返り、脳死でも子どもの意思を親が「代理決定」することの難しさを強調した。
中山茂樹・京都産業大法学部助教授は「脳死状態でも、その後一定期間、生き続ける可能性がある。代理決定する際は、子どもにとって最善の利益は何かを考える必要がある」と指摘。明治大法科大学院教授の弁護士、鈴木利広さんは基調講演で「子どもの権利を守りつつ、移植医療を普及させることが大切だ」と述べた。
信濃毎日新聞 6月11日(日)
神戸大病院(神戸市中央区)は二十六日、金沢大病院(石川県)で脳死と判定された五十代の男性から摘出された膵(すい)臓(ぞう)と腎臓の提供を受け、重い糖尿病で同大病院に通院していた兵庫県内の三十代の男性患者に、膵臓と腎臓の同時移植をした。約十時間の手術を終え、患者の容体は安定しているという。
国内四十五例目の脳死移植で、兵庫県内で脳死患者から臓器提供を受けるのは四例目。過去三例はすべて腎臓移植で、膵腎同時移植は県内初。
神戸大病院によると、同大と九州大、福島県立医科大の合同チームが、同日午後四時半から二十七日午前三時にかけて手術をした。
術後、膵臓は働き始め、血糖値の改善がみられるという。腎臓の機能改善は一般的に一-四週間かかるため、同病院で慎重に経過を観察する。
日本臓器移植ネットワークによると今回、脳死判定を受けた男性の臓器移植では、岡山大病院で肺移植を受けた四十代の女性患者は多量の出血があり意識不明という。
神戸新聞ニュース 2006/05/27
「生まれてくれてありがとうと言いたい」。生まれつき腸が機能しない重病のため米国で5臓器同時移植を受けたが、死亡した茨城県常総市の神達彩花ちゃん(1つ)の両親が26日帰国し、成田空港での記者会見で心境を語った。
会場に姿を見せた父親の良司さん(35)と、母親の宏美さん(30)。彩花ちゃんの遺骨は、宏実さんの腕にしっかりと抱かれていた。
良司さんは「(移植後の)5カ月間、幸せな時間を過ごせた」。宏美さんは「皆さんの協力がなければ移植は出来なかった。本当に感謝しています」と話した。
良司さんがJリーグ鹿島アントラーズのサポーターだった縁で、同クラブなどが協力、手術費など約1億3000万円の寄付金が集まった。
(
共同通信) - 5月26日20時37分更新
白血病に苦しむ仲間を救うため、浜田市長沢町の「らいらっくの会」(前原ひとみ代表)は16日、同市野原町の県立大の講堂前で、骨髄バンクのドナー(提供者)登録を呼び掛ける。
前原代表はカフェレストラン「モーニングムーン」を経営。常連客の日本郵政公社職員、田中昭則さん(54)=同市三隅町=が慢性骨髄性白血病と診断され、これがきっかけとなり、4月に会が設立された。
前原代表は「県立大の皆さんに協力してもらい、ドナー登録を呼び掛ける会を開くことになりました。一人でも多く登録者が増えてくれれば」と話している。
当日は午後1時~同4時まで。問い合わせは「モーニングムーン」(0855-22-8585)。【大賀英作】
(毎日新聞) - 6月16日