脳死からの臓器提供ができる病院の医師、看護師などのうち「脳死は死の妥当な診断基準」と考えているのは約39%で、欧州の半分以下との調査結果を、厚生労働省研究班が厚生科学審議会の臓器移植委員会で26日、報告した。
研究班員の大島伸一国立長寿医療センター総長は「これほど低いとは思わず、がくぜんとした。医療従事者がこれでは、とても一般の人に理解は深まらない。教育が必要だ」と話している。
調査は大学病院など300余りの臓器提供病院のうち31病院を対象に実施、7456人が回答した。
脳死は死の妥当な判断基準と答えたのは約39%、妥当ではないが約15%で、分からない・無回答は約47%。欧州8カ国での同様の調査では、妥当約82%、妥当でない約8%、分からない・無回答約11%だった。
(共同通信)
医療保険で払う患者負担とは別に患者が利用料を払う差額ベッドの数が頭打ちとなっている。厚生労働省の調査によると、資料の残っている1995年以降、ベッド数は同年の約19万5000床(7月1日現在)から、2001年には約24万3000床(同)に増えたが、これをピークに02~04年は23万床余りで横ばい。
全病床に占める割合も95年の12.3%から、03年の16.1%にまで高まったが、04年は16.0%に低下した。厚労省は「理由は分からない」としている。
差額ベッドは、プライバシーの観点から個室や少人数部屋を求める患者ニーズと、収入増を図る医療機関の思惑が一致、増加してきたが、病院経営に関しては、曲がり角を迎えたと言えそうだ。
(共同通信)
厚生労働省研究班(主任研究者・小林英司自治医科大教授)は21日、心臓、肝臓、腎臓の海外渡航移植を受けた患者が少なくとも522人に上るとの調査結果を公表した。心臓移植の場合は医師の紹介などで渡航しているのに対し、肝臓や腎臓では、患者個人で渡航し手術を受けたケースが多く、患者が医師に渡航先の病院名やいきさつなどを明かしていないケースが目立った。
調査結果によると、海外で心臓移植を受けたのは昭和59年から平成17年末までに103人。渡航先は、米国85人、ドイツ9人、英国7人などで、医師の斡旋(あっせん)・紹介がはっきりしていた。
肝臓と腎臓は、海外での移植後、日本の病院で治療を受けている患者数を調べ、今年1~3月の調査時に、肝臓が221人、腎臓が198人いた。肝臓移植で、渡航先が分かった101の国別内訳は、米国42人、豪州30人、中国14人など。腎臓移植は、ほぼ半数が中国で、フィリピン、米国が続いた。
ただ、両移植とも、渡航移植の紹介・斡旋者を患者が病院に明らかにしないケースが目立った。特に腎臓移植に多く、中国で移植を受けた患者の場合には75%に達した。
日本移植学会は、臓器売買と死刑囚からの移植を倫理指針で禁止しており、学会加盟の医師が、死刑囚からの臓器提供を行っているとされる中国での移植を斡旋することはないという。
学会では同日、海外渡航臓器移植について調査・検討するため「国際倫理問題対応委員会」を設置した。
(産経新聞)
多くの若い人に骨髄バンクに登録してもらおうと19日、静岡市清水区折戸の東海大海洋学部で、献血と一緒に登録ができるドナー登録会があった。大学で骨髄バンクの登録会が行われるのは県内初。「静岡骨髄バンクを推進する会」の川瀬和子さんは「ドナー登録というと重く考えがちだが、簡単にできるので多くの人に登録してもらいたい」と呼びかけている。【鈴木英世、本多孝士】
骨髄バンクの登録可能年齢は、昨年3月に下限が20歳から18歳に引き下げられ、同9月に上限が50歳から54歳に引き上げられた。現在、県内には約6000人の登録者がいるが比較的年齢層が高く、登録上限の年齢を過ぎると登録が抹消される。同会が若い世代の登録を求めるのは、登録期間が長く、骨髄のタイプが移植を必要とする患者と適合する可能性がより高くなるため。同会は今回、献血と同時のドナー登録に加え、浜松大でも新入生に登録の資料を配布するなど、若い世代の意識の高まりを期待している。
東海大では「学生に社会問題を考え行動してもらいたい」と体育会にさまざまな提案をしてきた。昨春、献血活動と同時に骨髄移植のドナー登録ができる制度を紹介、体育会が協力を決定し今回の開催となった。体育会渉外局長の大岡弘和さん(19)は「献血するだけでドナー登録ができるということを多くの人が知ることが重要と考えた」と話す。大学としても資料の設置などの協力を検討しているという。
ドナー登録には2ミリリットルの血液採取が必要だが、献血と同時に検査すれば1回の採血で簡単に登録することができ、静岡、浜松、沼津の献血ルームでは常時登録が行われている。適合者が出たときに入院が必要になるが、川瀬さんは「自分の骨髄の一部を提供することで人の命を助けることができる。若さと健康を分けてほしい」と話している。
■ことば
◇骨髄バンク
白血病などの血液の難病患者を骨髄移植で救うためのドナー登録制度。91年に旧厚生省所管の骨髄移植推進財団(東京都)が設立され、各地にドナー登録推進の組織が作られている。現在のドナー登録者数は全国で約24万人(06年2月末現在)。約2000人の移植希望患者全員に骨髄を提供するには登録者を30万人まで増やす必要があるという。
4月20日朝刊
(毎日新聞)
本人の拒否なく、遺族同意で
子供も実施へ 12歳以上可能
自民、公明両党の有志議員は31日、臓器移植法の改正案2案を議員立法で国会に再提出した。
2案とも昨年8月8日、国会に提出されたが、衆院解散で即日廃案になったものと同じ内容だ。
1つは自公の6議員が出した改正案で、河野太郎衆院議員(自民)が、その土台をつくった。脳死を人の死とし、ドナー(臓器提供者)本人が臓器提供を拒否する意思を示していない限り、「遺族の同意」で提供できる。
ドナーを確実に増やせ、河野議員は「年間300のドナーが現れる」と説明している。
ただ、心停止後の死体腎移植では、現行法の成立前から遺族の同意だけで腎臓の提供ができた。現行法でもそれは変わっていない。
ドナー本人の意思をなくした結果、現行法の15歳以上という提供者の年齢制限が基本的になくなり、子供の脳死移植も可能になる。臓器提供に限って脳死を人の死としたために生まれた「2つの死」という現行法の矛盾点も解消している。
2つめの改正案は、現行法の枠組みを維持したまま、提供の年齢制限を15歳以上から12歳以上に引き下げている。しかし、ドナーの増加には結び付きにくい。
今国会は、医療制度改革関連法案など重要法案の審議がめじろ押しで、審議時間に余裕がないため、改正案成立の見通しは立っていない。
【用語解説】臓器移植法
臓器提供する場合のみ脳死を人の死とし、脳死者からの臓器摘出を認めている。
(1)ドナー(臓器提供者)本人の書面による承諾
(2)家族の同意-が条件だ。
WHO(世界保健機関)の国際基準は「家族の同意」のみが条件。日本だけが、ドナーの意思表示を求めている。平成9年10月の施行以来、44件の脳死移植が実施された。年間5件の計算で、年間5000件の移植先進国の米国に比べ、少なすぎるとの批判が上がっている。意思表示の年齢も、15歳以上に制限され、子供の脳死移植が閉ざされている。
(産経新聞)