手術の成績(生存率)

手術の成績は、手術後生存率という数値で示されます。
現在公表されているデータでは、1年後生存率が80%強, その後は経年とともに徐々に下がっていっています。
ただし、これは日本での肝移植実施からの全てのデータを含んでのことで、直近数年に絞れば生存率も若干は上がっているとみられます。実際にインフォームド・コンセント時の医師の言葉では「(1年後生存率が)良くて90%, 悪くて80%」という説明がありました。

また、状況による成績の差異ですが、
  • 生体肝移植と脳死/死体肝移植では差は認められない
  • ABO血液型一致/適合と不適合では前者が好成績
  • 女性と男性では前者が好成績
  • 小児と成人では前者が好成績
  • ドナーの性別による差は認められない
  • ドナーの年齢は、高齢になる程成績が悪い
等とまとめられます。

HLAについてはこちらをご参照ください。
ABO血液型の不適合例については、脳死/死体肝移植まで待機できない状況のため踏み切られるケースが多いようですが、ABO一致/適合に比べ術後成績は著しく劣っています。

原疾患による差については
  • 胆汁うっ滞性疾患 > 肝細胞性疾患 > 代謝性疾患
  • 胆汁うっ滞性疾患 > 腫瘍性疾患(肝臓癌) > 代謝性疾患
  • 胆汁うっ滞性疾患 > 急性肝不全 > 代謝性疾患
  • 胆道閉鎖症 > 原発性胆汁性肝硬変(PBC)
  • 胆道閉鎖症 > 原発性硬化性胆管炎(PSC)
のようにまとめられますが、PSCのように術例が二ケタ台(約70例)のような疾患もありますので、誤差範囲内と受け止められないこともないと思われます。
その他、データでは表されていないようですが、肝機能が顕著に低下するまでの早期の手術の方が成績が良いようです。

またここでは余談となりますが、PBC, PSCを含む自己免疫性肝疾患の場合、手術後に服用する免疫抑制剤により免疫の過剰反応も抑えられ、予後が良いとする考え方もあるようです。

現時点では「悪くて80%」という数字をどう判断するかが、肝移植の大きな判断ポイントとなると思います。